他者の見方、自分の価値観が揺さぶられる本に出合いました。個性とは何か、自分の強みとは何か、弱さとは何かを具体的に考えるきっかけになりました。
はずれ者が進化をつくる~生き物をめぐる個性の秘密~
稲垣栄洋
この本は中学生や高校生に向けに書かれた本のようでとても読みやすいです。
目次は以下です。シンプルで抽象的で普遍的な疑問に対して生物、植物のことを例にして記述してあります。
目次
「個性」とは何か?
「ふつう」とは何か?
「区別」とは何か?「多様性」とは何か?
「らしさ」とは何か?
「勝つ」とは何か?
「強さ」とは何か?
「大切なもの」は何か?
「生きる」とは何か?
生物学(特に植物)の視点から目次にあるような「個性」「ふつう」「らしさ」「勝つ」などについて理論的に説明されています。普段、よく耳にする言葉ですが、深く考えることはあまりないと思います。
「区別」とは?
この本の内容に関してたくさんの植物を用いた興味深い例えがたくさんあります。その中で、個人的に、そして雑学的にも面白いなと思ったのが、「区別」についてです。
イルカとクジラの違いはなんでしょうか?イルカとクジラはどちらも海に住んでいる哺乳類です。どこが違うのでしょうか?
自分自身、どこか呼吸器とか違うんじゃないかとか複雑なことを考えていました。イルカとクジラの違いは単純に大きさということのようです。すごくシンプルです。
人間のつくる区別、基準はこんなもんなんですね。知らないと全く別の生き物と考えていました。
これは「障がい者」と「健常者」でもつながる区別だと考えられます。例えば知的障害です。人間が決めたある知能の数値を境に知的障害となります。この線引きをしてしまうとその子への見方も変わってきます。そして、この線引きが区別ということです。
障害と健常の線引きも人間がしたものであり、それはほんの一つの基準をもとになっているだけのものと考えることで、障害のとらえ方は変わります。ある線引きで「知的障害」とついているだけと理解できると、その人の強みや良いところを見つけやすくなるはずです。
「雑草は踏まれても( )」
( )に入る言葉はなんでしょうか?
著者によると「雑草は踏まれても立ち上がらない」ということです。
雑草の生きる目的は種を残すことです。踏まれても立ち上がって、そしてまた踏まれてしまうと、種は残せないです。だから、雑草は根を横に伸ばしたり、下に伸ばしたりして生きのびるようです。
また、雑草は強いイメージのようですが、実際は日光を得るために上に伸びる競争には弱いそうです。そのためにも、根を生き抜ける場所に伸ばして種を残すそうです。
人間は、強くなるというと嫌なことにも立ち向かい、それに打ち勝つこと、耐え抜くことと考えます。でも、雑草のような、その競争に参加せずに生き抜く方法も推奨されることで、多くの人間に生きやすくなるのではないかと思います。
「子育て」と「雑草」
子育てでは子どもに「こうしてほしい」という望みも多くなることがあります。前提として社会化してほしいという気持ちがあるからだと思います。ただ、雑草の例のように生き抜く方法は様々であることを知っておくと、「この子はこのままでもいい」と思えることがっ増えるはずです。
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