どなって、怒って…自分はダメな親?

怒りすぎる自分はだめな親?

子どもは大体にして大人の言うことを聞いてくれません。「~しちゃダメ!」「なんでママの言うこと分からないの」「もう今日はお菓子なし」とどなったり、子どもはシュンとしたり、泣きわめいたり、叩いてきたり。

そして、少し時間がたつと、お母さん自身が「今日も言いすぎた・・・」「私って怒りっぽい」「自分の感情を抑えられないダメなママ」などと自己嫌悪。

「感情にまかせず注意しましょう」「しっかり褒めましょう」「子どもの気持ちに寄り添いましょう」などと、たくさんの子育て本に書いてあります。「分かっているけど・・・」となります。


子どもの気持ちって分かる?

子どもの気持ちを全て理解することはとても難しいことなんです。大人は皆、子ども時代を経験しています。保育所での遊び、家で叱られたこと、自転車に乗れるようになったことなどたくさんの経験を覚えていると思います。子供を経験しているため、自分は子どもの気持ちを分かっていると思いがちです。しかし、本当に分かっているとは言えません。

「ミッケ」という絵本をご存知ですか?様々なおもちゃの中から指示された、特定の物を探す絵本です。「ウォーリーを探せ」のような絵本です。その本の中のライオンを探すだけでも、探している最中はイライラしたり、探せるか不安だったり、もうやめようかな、と考えたり感じたりして探します。そして見つけた時、とても嬉しい気持ちになり、達成感を感じます。再び挑戦してみると、ライオンのいる場所はすぐに分かり、イライラしたり、不安などの気持ちも感じることなく、嬉しさや達成感もそれほどでもありません。

つまり、答えが分かっていたり、一度経験することで、不安などの感情や考えていることを経験できなくなります。「分からないことが、分からない」というようになります。大人が子どもの気持ちが分からないのも、これと同じことです。大人はすでに知っているので「なぜこんなことが出来ないの」と、子どもを責めたい気持ちになります。


どうしたらよい?

子どもの気持ちが分からないからといって、子どもを怒ったり、責めすぎることはよくありません。ただ、叱るのがダメということではありません。子どもが悪いことをしたり、危なっかしいことをしたら叱る必要があります。叱るとは、ここでは「なだめるように、分かるように伝える」ということ、そして、怒るということは「感情を表にだしている」ということとします。

まずは、叱るVS怒る比率を少し変えましょう。叱る:怒る=30:70であれば、40:60にするだけでも十分です。7回怒っていたのを、6回に減らすだけでもすごく大きな一歩です。

そして、大事なことは、伝えることを意識して叱ることです。次には叱り方のポイントをいくつかあげています。


1.動詞を使って具体的に伝えてみましょう

「またそんなことしてー」「ダメダメダメ!!」「なんでこんなことするの?!」「はやくしなさい」など、子どもについ言いがちになります。子どもは否定されたと感じただけで、理解できていない状態が多いです。具体的に何をするかを伝えましょう。その時、動詞を使うと具体的に言いやすくなります。例えば、「歯磨きしたら、着替えようね」「前向いてご飯たべよう」などと、することを伝えると、子どもは何をするか理解しやすくなります。


2.肯定的な表現で伝えて見ましょう

「~しないで」という表現は否定ですね。人間には否定の表現は伝わりづらいです。例えば、手を膝においた状態で急に、「手をあげないで」と言われると、少し戸惑い行動に移すまでに時間がかかりませんか。「手をあげて」と言われるとすぐに反応できると思います。子どもにも「箸持ってはしっちゃだめ」「ジュースで遊ばないって言ってるでしょ!!」と否定表現ばかりだと理解していない可能性があります。また、否定表現を使いぎると、否定されたという気持ちが先行し、受け入れられない状態になりやすいです。「○○くん、箸持って走ると危ないよ。ご飯食べようよ」「ジュースこぼれるよ。飲んでママと遊ぼう」などと肯定的な表現だと伝わりやすくなります。


3.ルールを破ったら、ちょっとだけの悔しい体験を

毎日の生活でルールや決まり事を破ることがあり、どうしようか戸惑うこともあります。そのような時、大きな罰を与えてしまうと、子どもはショックな気持ちだけ残ってしまいます。おやつの時間にお菓子で遊んでいて、「もうお菓子なし」となると、子どもは落ち込み、反省する余裕が生まれません。ちょっとの反省できる余裕のある体験をさせてあげることが必要になります。お菓子を半分にする、テレビを1日禁止、もう一度一緒にやり直しをするなどです。子どもが自分の行動を振り返る余裕のある場を提供してあげて下さい。そして、もちろん大切なのは、出来た時に褒めてあげることです。


4.負けるが勝ちの精神で

子どもといるとなんとか大人の言う通りに動いてほしいと思いイライラして、そして最終的には子どもと勝ち負けを競う気持ちになるときがあると思います。子どもは自分勝手であったり、いつも失敗したりとイライラさせられることばかりです。でもそれは子どもだからです。自分勝手は自己主張のあらわれ、失敗はチャレンジをしている最中と捉えることもできます。時には大人が引いて子どもに勝たせてあげることも大切です。子どもは引くことを知りません。大人だからあえて引くことができます。「負けるが勝ち」と思いながら接する時間が少しでも増えると、大人も少し余裕がでてくるかもしれません。


さいごに

大人も子どもと同様に色んな感情に左右されます。感情にまかせて子どもに当ることもあります。でも、感情を表現できるから、子どもにもお母さん、お父さんの気持ちが伝わり、情緒豊かに育つとも言えます。怒って、大人が「しまった」と感じたら、後から素直に謝ることが大切です。

なるさ 療育学習室

子育て相談、療育に関する相談室です。応用行動分析(ABA)という科学的視点から臨床心理士がお子さんの学習と成長を促します。

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