指示テクニックをマスターしよう

基本的な指示であるCCQについて説明はしました。

CCQは指示の基本中の基本で大切です。しかし、CCQだけでは上手くいかないことが多くあります。特に少し反抗的なお子さん、思春期のお子さんなど、自我が強い場合は指示にも工夫が必要です。

5つの指示のマスターテクニックがあります。

CCQ、基本的な指示の方法、マスターテクニックを駆使してお子さんにかかわると、指示が伝わりやすくなります。


マスター1 選択法

算数の苦手で拒否的なお子さんに「今日は割り算をします!がんばるぞ!」と言っても、やる気のない時は逆効果になりやすいです。でも、先生としては算数を勉強してほしいと思っています。そんな時は選択法です。「割り算する?それとも復習で掛け算をする?」などです。子どもは自分に決める権利があるので、気持ちよく指示に従いたくなります。ポイントはその時に「好きなこと・嫌いなこと」をセットにするか、「どちらも嫌いなこと」をセットにするか、普段の行動の中で判断することが重要です。

例1)「お片づけしますよ!」⇒「積木から片付ける?ブロックから片付ける?」1

例2)「1時間目から授業に行こうか」⇒「今日は算数の授業にでる?国語の授業にでる?」


マスター2 特典法

「~したら・・・できる」という取り決めをすることです。“特典”を与える契約をすることで、子どもにとっては動機づけが高まります。特典は子どもの好きな物や活動など、意欲的に取り組んでいることを使いましょう。特典の取り決めにはルールがあります。先生が無理なく与えられるもの、そして、約束したら必ず与えましょう。


マスター3 見本法

 他の子供をモデルとして、そのモデルの子供をほめることで、対象の子供の適切な行動を増やしたり、困った行動を減らす方法です。例えば、活動中、寝転んで制作活動に参加しないA君。隣のBちゃんは活動に取り組んでいます。そこで「Bちゃん座って作れてすごいね」とほめるなど。このように、非難することをせずに、A君の適切な方法を増やすこと、不適切な行動を減らすことができます。一人の子供をほめることは、他の多くの子供にも影響します。見本法を意識して「ほめ」をどんどん行いましょう。


マスター4 予告法

これからすることを予告しましょう。事前にすることを伝えることで、子どもは、今していることを認められたと感じます。そして、次の行動に切り替えやすくなります。また、不安の強い子供は予告することで安心して、落ち着いて行動することができます。


マスター5 断定法

 口調ははっきりと言いきりで、断定的に伝える方法です。「片付けしてくれる?」「宿題できるかな?」というように、お願い口調やおたずね口調は、子どもに「自分で決めていいんだ」と思わせ、反発する余地を与えてしまいます。その結果、叱られてしまうとすると、ほめるための指示ではなくなってしまいます。「片付けます」「宿題をします」などと断定的に伝えた方がよい場合もあります。

【注意】

断定的口調に過敏に反応する子もいます(命令されているみたいで嫌、絶対にしないと頑なになっている・・・など)。また、「~してくれる?」という言い方の方が、指示に従ってくれる子もします。指示をした後、行動観察をして、どのような指示がいいのかを考えて、お子さんに合った指示を見つけていきましょう。


なるさ 療育学習室

子育て相談、療育に関する相談室です。応用行動分析(ABA)という科学的視点から臨床心理士がお子さんの学習と成長を促します。

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