応用行動分析が誤解される理由(私論)

発達障害をはじめ自閉症への療育に、応用行動分析(ABA)はとても効果があるけど、なぜかあまり周知されていないというか、理解されていないというか、理解されづらいようです。

応用行動分析の基本については以下に書きました。



我が地域は田舎のため情報が少ないのか、療育を受ける施設が少ないためか理由はわからないですが、ABAはまったくと言っていいほど知られていないようです。
また、多分、おそらく、日本の心理士さんや療育をしている人たちの間でも、ABAを取り組んでいる人は少ないのではと感じます(実際に心理士さん同士の集まりでの印象)。

今回、ABAの流行らない理由、誤解される理由を勝手にまとめました。私論なのでエビデンスなしです。


シンプルすぎて分かったつもりになる

ABAの理論ってすごくシンプルです。「事前の出来事⇒行動⇒結果」というのが基本です。これだけといっていいかもしれません。例えば「お菓子売り場へ行く⇒泣く⇒お菓子を買ってもらえる」というような行動と環境の相互作用をみていきます。すごく単純。精神分析などの理論や心の発達に関する理論などと比較すると「こんなシンプルでいいの?」と疑問ももちたくもなります。シンプルすぎて分かったつもりで終わってしまいます。だから、「もーABA分かったしいいや」と他の理論に興味を抱くかたもいると思います。


用語が難しい

ABAの用語って意外と難しいです。随伴性、強化子、順向連鎖、阻止の随伴性、他行動分化強化…など用語も難しそうだし、理解するにも少し難しいこともあります。それで妥協してしまう人も多いようです。また、知人が言うには「漢字が多い」とも言っていました。確かに漢字の使用率は高いように思えます。とっつきにくい印象はあるかもしれません。


実践している支援者はまだまだ少ない

大学などにはABAを研究されている先生はたくさんいらっしゃるようですが、ABAを使う支援者が少なすぎるのは事実なはず。論文はたくさんある、エビデンスはある、でも実践はされていないという状況です。そのため、保護者さんたちにも周知されにくくなります。もちろん、公的機関(役所など)の保健師さんや障害福祉関係の方も知らない人が多いです。

「人は動物と同じではない!」と言われる

この言葉は実際に言われたことがあります。ABAとは異なる領域の教授さんも、そのようなことを話されているのを耳にしたこともあります。確かに、ABAは動物実験がもともと基礎になり、人間に応用されるようになったから、的確な批判にも思えるけど、よく考えると「人間も動物なんだよなー」。その他の批判として「この子の気持ちはどうなの?」「感情がおいてけぼり」ということも言われたこともあります。よくありがちな批判ですが、このことに関して、どのような教育を受けたか、そして価値観が異なると、そのような意見のでることは仕方ないとも考えてます。


以上が勝手に考えたABAが流行らない、または誤解される理由(私論)です。

これらの理由を考えながら、保護者さんや他の支援者さんたちと協力していくことで、少しでも理解してもらえるように頑張るしかないですね。

なるさ 療育学習室

子育て相談、療育に関する相談室です。応用行動分析(ABA)という科学的視点から臨床心理士がお子さんの学習と成長を促します。

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