「備北里親だより」という広島県の里親さんたちのおたよりに寄稿させていただきました。
オリンピックが開催までに様々なことがありました。そのことなどから考えた子育てのこと、支援のことなどを記述させていただきました。
以下が全文です。
オリンピックから考えた支援
東京オリンピックが開催されましたね。そしてこれからパラリンピックですね。おそらくこの記事を読まれる頃には既に開催されているでしょうね。東京オリンピックを迎えるまでに様々なことがありました。男女差別・人種差別の問題、いじめの問題などもニュースから散見されました。一連の問題を振り返ると、中核には他者のこころをイメージすることに欠けていたといえます。他者の気持ち・考え・行動を考えることが十分にできていなかったということではないかと思います。「この発言をするとAさんはどう考えるか?」「この言葉を使うとBさんはどういう気持ちになるのか」などということです。このように考えることで発言にストップをかけたり、言い回しを変更することができます。
私は医療現場、教育現場、福祉現場、なるさでの私設での現場で発達障害のお子さんや保護者さんの支援をさせていただいています。複数の現場をまたぐ中、どの現場でも支援で共通して重要なことは、上述した「他者のこころをイメージすること」だと考えています。子どものこころのイメージ、親のこころのイメージ、先生のこころのイメージなどをどれくらい具体的に鮮明に相手の見えない部分をイメージできるかということです。
支援では行動分析学や行動療法という理論や支援方法を使ってお子さんや保護者さんを支援しています。行動を中心に扱う技法です。例えば「宿題をする」「登校する」「手を洗う」「言葉を増やす」など具体的に目に見える行動が改善できるように支援していきます。とても有効な支援方法です。しかし、支援の中では見えない考えや気持ちをイメージすることもとても大切になります。相談に来られた方の気持ちや考え、価値観をイメージしながら話を聞いていくと、こちらからの伝えたい内容、伝え方、口調を変えることができます。例えば、ゲームをしすぎているお子さんに「ゲームしすぎだからやめなさい」「ゲームばかりしてると勉強できなくなるよ」という言葉は大抵有効ではありません。その言葉を使うと何を子どもが考えるか、どんな気持ちになるのか、どのような行動をするのかをイメージしてみます。「また言われた!」「勉強とゲーム関係ないじゃん」「他にすることないし勉強は苦手なんだよ」というような気持ちが生じているかもしれません。このようにイメージをすると伝え方も変えことができるようになります。
東京オリンピックの一連の騒動より支援や子育てにおける伝え方を考えさせられました。現在、知識伝えることや自己主張することを意識してしまいやすいです。しかし、伝えると害になることもあります。「何を喋れるかは知性。何をしゃべらないかは品性」ということを意識することはどのような場面でも大切だと感ました。
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