子供の指差しの意味について考えてみます。指差しは色んな意味があります。大人同士のやりとりでは、「あ、あれ見て!」など気になったものを指差して、共有するということが多いと思います。山登りで山頂の目的地を指差すことも、「もうすぐだ。頑張って一緒に登り切ろう」ということを共有していることになります。
つまり、指を指す行動には相手に理解してもらいたいという表現の表れともいえるかもしれません。そして人間特有の行動とも考えられています。
子どもの発達においても指差しは重要な行動として位置付けられています。
乳幼児健診においても「指差し行動」の有無がチェック項目に入っています。
指差し行動はどのように形成される?
指差しにはまず腕を動かす行動が必要になります。まず乳幼児は手を伸ばして、対象物に手を届くようになります。対象物に届いた後に握る動作となります。
その後、対象物に届く前に、手のひらを.握る準備をし始める動作が見られるようになります。つまり、視覚情報や空間情報を認知し、腕や手をコントロールできる力が付いていきます。
そのような掴む行動を.する中で、指の分化が始まります。つまり、全ての指が同じように動いていたものが、親指と人差し指で掴むという動きもできるようになります。人差し指でなぞる行動などは、分化する力を育むことと維持することとなっています。このような分化が進む頃に、指差し行動が出現するそうです。また、物の操作する中で指差しが発生することから、対人関係だけでなく、事物操作により発達するとも考えられています。
自発的指差しは8~9カ月頃から始まるとも言われています。指差しが出るようになると、近い方からの指差しから始まることが多いようです。また、反対に大人がすぐ近くの花を指差して見ると理解できるけど、遠くの木を指しても指ばかりみるということがあります。しかし、徐々に遠くへ差した指が何を指しているか理解できるようになります。
指差しの意味
指差しの機能は以下のように変化していきます。
1)驚き・興味(8ヶ月頃~)
「あれ?」と思ったもの、興味のあるものを指差します。見るとたいて指をさす行動などもここにあたります。
2)要求(11ヶ月頃~)
欲しい物、行きたい方向を指さすようになります。
3)叙述(11ヶ月頃~)
この時期は物を指差し、親の顔を見る行動が始まります。驚いたり、知っている物を指差して母親が声を掛けることで言語のやり取りも育まれていきます。
4)質問(12ヶ月頃~)
質問しながら指をさすようになります。「こわ?」「こわわ?」などのように、尋ねるようになります。新しい物ばかりでなく、既に知っている物も質問してくる中で、物の名前も覚えて行きます。
5)応答(12ヶ月頃~)
他人から質問されて応える指差しです。様々な動物の絵の中から「ワンワンは?」などの質問に対しての、指差しでの応答が可能になります。
指差し行動ができることで言語が発達するということではないかもしれません。
しかし、指差し行動は子どもが大人との会話(コミュニケーション)をしやすくなる手段であるようです。つたない言葉で要求し、理解してもらえないよりも指さしをして理解してもらえる方が、子どもにとってはコミュニケーションは楽しくなります。そこから少しずつ語彙力、文法を育んでいくことができます。
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