ごほうびを使って意欲アップさせるコツ

子どもにごほうびを使う場面をよく見受けられます。

ごほうびを使うことでやる気もダウンすることもあります。

しかし、上手に使うとやる気を維持またはアップすることも可能です。

今回、ごほうび上手に使ってモチベーションを維持するコツを説明します。

まずは、行動を起こすモチベーション(動機)について説明します。


行動する2つの動機

内発的動機:自分からやりやいからやる

「楽しいからサッカーする」「おもしろいからゲームする」など自分からすることです。自発的にする行動のことです。つまり、「やる気がある」ということになります。


外発的動機:ごほうびをもらえるからやる

「ほめられるから皿洗いする」「叱られるから勉強する」「ごほうびもらえるから宿題する」など、外部の反応によってする行動です。



やる気はご褒美で低下する?

自分からしている行動で内発的動機が高そうでやる気があっても、そのやる気が低下することがあります。

Deciという心理学者が1971年に大学生を対象にした実験で明らかになりました。

Deciは実験で大学生にパズルをさせました。あるグループはパズルを解くと1ドルの報酬がもらえました。もうひとつのグループは報酬はありあませんでした。

その後、休憩時間に各グループのパズルを自分から取り組む時間を計測しました。

すると1ドルの報酬をもらえたグループは休憩時間、パズルに取り組む時間が極端に少なかったようです。

これは報酬を得ることでパズルへの興味を失ったと言えます。つまり、内発的動機が低下したということになります。

ご褒美を与えられることで、それまで高かった内発的動機が低下することを「アンダーマイニング効果」といいます。


アンダーマイニング効果の起こる理由

Deciはアンダーマイニング効果の理由として、報酬により自分自身の行動がコントロールされているという考えが強くなり、自己決定感という自分が自分をコントロールしているという感覚が失われたためと考えました。

つまり、自己決定することは自分自身の裁量を強めて、自分はできるという気持ちになり、自分で行動する意欲につながるということです。


ごほうびを上手に使う方法

ごほうびを使うと、やる気が低下するということです。しかし、ごほうびを使うことは必要な場面もあります。全てが内発的動機であることはなく、外発的動機も必要なこともありあます。しかし、ごほうびを使って「やる気」を低下させることはしたくありません。

ごほうびを使っても「やる気」を低下させないコツは、自己決定を促すということです。

どんな自己決定かというと、目標、行動の自己決定です。

目標とは行動して最終的な結果を示します。「テストで70点とる」「5キロ減量する」「手伝いを毎日する」などです。

行動とは目標をより具体的にしたもので、時間や場所を加えて、どのようにその目標に働きかけるかを決めていきます。「テストで70点とるために、毎日2ページ問題を記憶する」「減量のため、夕方、毎日、30分ジョギングする」「手伝いで、毎晩、皿洗いをする」というように具体的に行動を考えて自分自身で決めていきます。

このように、行動を自己決定することで、自分で決めたこと、自分はできるという気持ちになり取り組みやすくなります。

そして、達成できればごほうびを使うとともに、しっかりと言葉でほめましょう。そうすることで「やる気」も維持、そしてアップすることにつながります。

なるさ 療育学習室

子育て相談、療育に関する相談室です。応用行動分析(ABA)という科学的視点から臨床心理士がお子さんの学習と成長を促します。

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