小1プロブレム


小1プロブレムという言葉があります。
小学校に入学して集団行動がとれなかったり、授業中に座っていられなかったりと、ルールに沿った行動ができない子をさすようです。
様々な要因が示唆されているようです。書籍などによって言っていることは様々です。
大まかに要因を分ければ、ひとつは環境(子育ての仕方、社会の価値観、社会情勢など)が変化したため。もうひとつは発達障害の増加が考えられます。
よく、発達障害の子どもには保育所・幼稚園から小学校へのハードルが高いと言われます。
ハードルといっても色々あります。発達障害(特にADHD傾向)の子どもにとっての小学校入学の苦悩(ハードル)を考えてみます。
1)着席時間の増加
 着席時間は小学生になってすごく増えます。明らかですよね。個々の机が与えられ、45分着席しておくことが基本になります。ADHD傾向のある子にとっては相当な苦痛なはずです。視覚刺激、聴覚刺激に左右されて45分の着席は難しくなります。更に、着席することが嫌になってきている状況で、少しハードルの高い課題をします。これは拷問に近い状況かもしれません。
2)ルールが増える
 図書館の使用方法、体育館へ行くときの順番、職員室に入る手順、教室での発表の仕方などなど、保育所・幼稚園と比較してルールが多くなります。ルール、手順に従うことが多くなると発達障害傾向の子どもはしんどくなります。なぜなら、発達障害の子どもの多くは、同時にたくさんのことを理解できないからです。
3)集団活動
 小学校に入ると、「みんなで○○します」というような活動が増えます。「班」というのも小学校はじまります。教室の班、登校班です。また、運動会ではチーム競技の目白押しです。集団での活動になると、発達障害傾向の子ども(大人も)は困ることが多いようです。どのような役割をとればいいか、周囲の人とどう距離をとるか、声をかけていいのか、様々なことが疑問になります。どうすればいいのか分からず、不安なまま過ごすようになります。
4)本格的に学習が始まる
 現在、年長で平仮名を読める子、数字をかける子、簡単な足し算のできる子もいます。しかし、小学校以降の学習ではより複雑な思考力も必要になります。単純に「平仮名を読む」「平仮名を書く」だけでなく、「考えて書く」「考えて読む」ということになります。また、「読む」「書く」の他に「考えて発言する」ということも重要になります。小学校以降は「学習」ということでの評価が重視されるため、学習を落ち着いてできない場合、褒められることが少なくなります。

以上のように発達障害傾向の子どもにとって、小学校入学は大きなハードルです。大人が考えるハードル階段一段が、十段に感じるかもしれません。小学校のハードルは周囲が思っているより高いようです。入学前、入学後、周囲の配慮や理解が必要に感じます。

なるさ 療育学習室

子育て相談、療育に関する相談室です。応用行動分析(ABA)という科学的視点から臨床心理士がお子さんの学習と成長を促します。

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