発達障害とフラッシュバック

広汎性発達障害(ASD)に関してよく「パニック」という言葉が使われます。杉山先生の著書には過去の出来事を持ち出すということから、「タイムスリップ現象」とも表現されています。その他にフラッシュバックという言葉で、パニックについての説明をすることもあります。過去に文脈や一部分を思い出して、情動が不安定になるということはASDにはあることのようです。

ここではASD児・者が過去のことを思い出して不安定になることをフラッシュバックという用語で統一しておきます。

フラッシュバックには記憶が関係していると言えます。想起することやリハーサルすることを理解は、フラッシュバックの対応に役立つといえます。


1)記憶の同一性保持や偏り

ASD児者は質的な社会性の困難さがあるとされています。例えば、日々の食事についてはあまり覚えていいませんが、家族で外食したことは覚えています。しかし、ASD児者は通常とは異なった側面を覚えていることがあります。つまり、社会的な重要度が異なり、些細な出来事やちょっとした嫌だった体験も記憶しやすい可能性があります。また、関心の偏りや、同一性を好む面もあるため、思考も限定された思考を繰り返すとも考えられています。嫌な記憶が浮かんでくるとそれを思い出しやすくなり、そこにこだわり、悪循環になっていくといえます。


2)記憶の欠落

ASDの方の中には過去にあったことを覚えていなかったり、一部分が欠落していることもあります。そして、その覚えていない部分を補おうとして自分なりに作り上げて、違うことをいっていると周囲から非難されることもあるかもしれません。

非難された成長したASD児者にとって、更に被害的な記憶を作りだすサイクルとなり、肯定的面に目を向けることが少なくなっていきます。


3)嫌な記憶を想起してしまう

私たちは嫌があってもなんとか日常生活を行うことができます。上手に思いださないように、日常の課題や日々の生活に没頭する中で記憶をコントロールしています。つまり上手に於いておくことができます。

しかし、ASD傾向にある場合、ある嫌な出来事が頭に浮かんだ場合、それが頭の中を占領してしまい、それ以外の事を考えることが困難になるいと言えます。思考がその出来事にこだわってしまうと言えます。

様々な記憶の仕方が考えられます。これと決められた記憶パターンはないと思いますが、仮説として考えながら、ASD児者の方を理解できればと思います。

なるさ 療育学習室

子育て相談、療育に関する相談室です。応用行動分析(ABA)という科学的視点から臨床心理士がお子さんの学習と成長を促します。

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